大阪府藤井寺市 池田医院 内科・胃腸科・循環器科・小児科・皮膚科・糖尿病専門外来・胃がん、大腸がん検診・往診・在宅医療

医療法人 真貴会 池田医院本文へジャンプ
池田医院の糖尿病について
糖尿病と低血糖
糖尿病は血液中の血糖値(ブドウ糖濃度)が高くなり、高血糖状態が続くことを言いますが、糖尿病の治療中に逆に低血糖に陥り、あくび、空腹感、冷や汗などの症状をはじめ、重篤になると意識障害から、低血糖性昏睡に陥ることもあり、大変、危険なことがあります。低血糖は血糖値が70mg未満であるときを言いますが、血糖値の高い人や、急激に血糖値が下がったときには、100mg/dl程度でも低血糖症状が出現することがあります。
低血糖の原因
血糖とインスリン作用のバランスがくずれ、インスリン作用が強くなりすぎたために起こります。その背景には、1型糖尿病をはじめインスリン分泌障害、抵抗性障害などのある人は血糖下げる力が弱いだけではなく、糖尿病では、血糖値を上げる作用のある,拮抗ホルモン(グルカゴン、エピネフリンなど)分泌能力も低下し、健康な人の場合、血糖値が下がってくると、グルカゴンなどの拮抗ホルモンが分泌され、血糖レベルを正常(70mg/dl以上)保とうとしますが、糖尿病の場合はこれができません。
 
低血糖の症状
低血糖では体が必要とするブドウ糖が足りなくなるため次のような症状が現れます。だれでも同じような症状がおなじように順番よくでるわけではありません。むしろ症状は極めて個性的で個人差が大きいですが血糖値70未満になると、交感神経の症状(血糖値低下の警告症状)血糖値50未満になると、中枢神経系の症状(ブドウ糖の欠乏脳細胞が正常に働かなくなりつつあることを示す状態)血糖値30未満になると大脳機能低下症状(自分の力では対処できない。)が出現します。低血糖には症状の個人差があるため、自分の症状の特徴をよく記憶して次に現れるときに対処が重要です。(低血糖のサインを見逃さない。) 
 
無自覚性低血糖とは
いきなり低血糖の重いレベルである意識障害が起こることを無自覚性低血糖と呼びます。これは罹病期間が長く糖尿病の合併症で自律神経が障害されているときに起きやすいといわれています。非常に危険な状態です。他に一度高度の低血糖を起こすと自律神経症状中枢神経症状が現れる閾値(症状が出始める血糖値)が低下して意識障害のほうが先行して起こってしまうことがあります。ただしこの場合は1-2か月間低血糖を起こさなければ自律神経症状中枢神経症状の閾値は元にもどります。最近問題となっているのは無自覚性低血糖症を呈する患者の自動車運転に関する医師のため文書がでており、医師、医療従事者および患者の責務に関して事故防止に関する注意すべき事項が書かれています。
 
低血糖の対処法
1. 自分で対処できるケース 低血糖の症状が現れたら、まずブドウ糖を口にします。余裕があれば、血糖を自分で測定し、低血糖の確認をします。ブドウ糖を10-15g飲み込み、しばらく安静にしています。15分経っても回復しない場合はさらにブドウ糖を同量追加します。我慢すると、より危険な状態に低血糖が進行する可能性があるので糖分を取り、一時的に多少高血糖になったとしても,低血糖を放置するよりはずっと安全です。車運転中の低血糖に関してはまた別項目にて解説します。低血糖はいつどこで起こるかわからないので薬物療法をしている人はブドウ糖をいつも身に付けるようにしましょう。アメや氷砂糖でも血糖値を上げることはできますがブドウ糖はなによりも溶けやすく,吸収の早いブドウ糖がお薦めです。ブドウ糖がない場合は市販のジュ-スを飲むことです。(ブドウ糖量の表参照)100-150ccを飲用します。ブドウ糖のないときは砂糖でも構いませんがαGI阻害薬服用中は砂糖を口にしても分解され、ブドウ糖となるまで時間がかかるため、低血糖の改善が遅れます。

2. 家族や身近な人に対処してもらうケ-ス 低血糖で意識障害が出ると、自分では何もできなくなり、周囲の人に処置をしてもらいます。薬物治療を始めた人は家族や職場の人に低血糖の時の対応を頼んでおきましょう。糖尿病の患者さんがいる家族や職場の人はその患者さんがいつもと様子が違うと思ったら、低血糖の症状を疑います。いろいろと質問して、意識レベルを確かめましょう。低血糖を起こしていると分かれば、コップ半分に水を溶かしてブドウ糖水を飲ましてください。それでもなお回復しなかったり、意識障害レベルが悪く、なったりすると、あらかじめ医師に処方してもらったグルカゴン1vを皮下注射をします。患者さんの意識が戻ったらさらに1単位-2単位の炭水化物を経口摂取させてください。また患者さん本人が糖尿病であることがわかるIDカード携帯しましょう。
 
運転時低血糖及び事故の実態
運転時低血糖で起こるヒヤリハット
低血糖の対処(運転する人/運転しない人)
 ブドウ糖補給のめやす
日常生活での注意点
低血糖を起こしにくくするにはインスリンの必要量と薬や注射で補うインスリンの量のバランスを崩さないことです。そのためには規則正しい生活を心がけましょう。できる限り一定のリズムをもった生活パタ-ンをし、シックデイの対応も経験する必要があります。スポ-ツなどで普段より運動量が多くなったりするときは指示カロリー以外にパンなどの分解の遅い炭水化物を1単位程度食べます。低血糖をいたずらに恐れるのではなく、適切な処置で対応できて経験値を増やすという考え方のほうが良いと思います。低血糖を恐れて指示カロリ-以上をとり、血糖が乱れると必ず合併症が襲ってきます。低血糖対策の知識をしっかり身に付け規則正しい生活をできるだけ心がけより良い血糖値管理を目指しましょう。
もしかして低血糖?
インスリン療法やSU薬、グリニド製剤等投与中で低血糖を起こし得る患者さんは下記にみられる症状を経験されたことがある人がいらっしゃると思います。それは典型的な低血糖の症状といえないかもしれませんが、低血糖のサインかもしれません。 
 
 低血糖の起こりやすい状況
低血糖の代表的な要因としては下記に示す要因が考えられます。低血糖を起こしやすい要因を推測することは低血糖の予防に役立つと思われます。 
 
低血糖が引き起こす様々な弊害 
低血糖を頻繁に起こすことはいろいろな弊害を起こすことが考えられます。
1)血糖のコントロ-ルがうまくいかなくなる。血糖値が下がると、血糖値を上げるホルモンが増えることで、逆に高血糖になってしまう場合があります。また低血糖になるという不安から、インスリンの量を減らしたり、過食になったりして、体重の増加につながり、治療効果に悪影響を及ぼすことがあります。
2)日常生活に影響が生じる。悪夢をみたり、寝汗をかいてうなされるなど、睡眠の質が低下しやすくなります。また日中、体調がすぐれず、仕事に支障をきたすことがあります。特に車の運転や危険を伴う作業に注意を必要とする場合があります。めまいや注意散漫となり、転倒する危険性が多くなる可能性があります。
3)合併症を起こしやすくなる。網膜症等の合併症が悪化する可能性があります。心筋梗塞や、不整脈などが起こりやすくなります。認知機能が低下することがあります。
 
 
 
 
低血糖と思われる症状への対処法 
最も必要なことは血糖の測定をして、低血糖が存在するかどうか、その場で確認することが重要ですが、必ずしも血糖測定ができない場合もあり得るので、先ずは早く違和感を感じたら、ブドウ糖を服用してみて、自覚症状がよくなるかどうか、放置せずに重症な低血糖に移行しないように対処すべきです。 
 
上に戻る
 COPYRIGHT(C) 医療法人真貴会 池田医院 ALL RIGHTS RESERVED.