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糖尿病では理由は様々ですが、何らかな形で体に必要なインスリンが不足しています。その結果、血糖が上昇し、いろいろな合併症を引き起こします。糖尿病治療の目標は”合併症を防ぎ、糖尿病のない人と変わりない生活を送る”ことにありますが、この目標達成にはより良い血糖のコントロ-ルが重要です。インスリン注射療法は不足するインスリンを補うことによって血糖値を安定させ、よいコントロ-ルを可能とし得る優れた治療法です。Ⅰ型(インスリン依存型)糖尿病ではインスリンがでないのでインスリン治療は欠かすことはできません。Ⅱ型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)でもインスリンを作る力が落ち、食事・運動療法・内服薬などを用いても満足な効果が得られない場合にはインスリン療法に移行すると考えられています。ごく最近では動脈硬化の進展を防ぐ目的で食後高血糖の抑制のためHbA1c7程度でも超速効型インスリンを毎食前に少量注射したり、またβ細胞(インスリンを分泌させる膵臓の細胞)の疲弊を軽減させて、永続的なインスリンの注射を回避させるという観点から比較的早い時期から持続型インスリンを導入することもあります。ということで以前のインスリン導入に関する考え方が少しずつ変わりつつあると思われます。インスリンを使うようになると糖尿病も終わりとか、インスリンを使うと膵臓が怠けるという方がいますが、私は何もインスリンが糖尿病の治療の最終手段でなく、重要な治療手段の一つで躊躇して使うのを遅らせるよりも必要であれば、早く導入することが利点が多い旨説明しています。私は合併症の起こる頻度や進行を抑えたりする目的で一般的にはHbA1c6・5までにすることを勧めています。また膵ベーター細胞の機能を温存することの重要性も最近説明するようにしています。インスリン注射をしていればたくさん食べてよいというわけではなく食事療法は決められた総エネルギ-の中で食品交換表を参考にして正確に守りましょう。インスリンの種類によっては食事の遅れは低血糖につながるので注意が必要です。運動は食事1時間位に規則正しく実行するのがコツで特に激しいスポ-ツをする時には補食やインスリンの量の調整が必要です。詳しくは主治医に相談して指示を受けましょう。大事なことはインスリンの注射とは食事療法と運動療法の上に成り立つもので、ただインスリンを打っていればよいというものではありません。 |
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(インスリンの働き) |
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(血糖のコントロ-ルの指標) |
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(ヘモグロビンA1cが下がれば) |
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(Ⅱ型糖尿病における膵ベーター細胞の推移) |
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(1日の血糖値の推移) |
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(Ⅱ糖尿患者の典型的な治療経過) |
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糖尿病のタイプ |
糖尿病には様々なタイプがあります。それぞれのタイプの特徴に応じて治療法も異なります。Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病が代表的なタイプでわが国で700万人以上とされる糖尿病の90%以上はⅡ型糖尿病です。Ⅱ型糖尿病では膵臓からインスリンは出ていますが、出方が少なかったりインスリンの作用が不十分のために血糖値が高くなります。Ⅱ型糖尿病の治療は、食事・運動療法基本ですが、効果が不十分であれば血糖効果薬やインスリン治療が必要になります。 |
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(糖尿病の分類) |
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Ⅱ型糖尿病とインスリン治療 |
膵臓からインスリンがでているⅡ型糖尿病では治療上インスリンが不要な時期と必要な時期があります。治療がうまくゆかないとインスリンの必要性が増し、インスリンを用いて改善すると、インスリン治療を続ける必要性が減ります。Ⅱ型糖尿病は食べ過ぎや運動不足といった生活習慣等が引き金となり中高年に多くみられます。いったん高血糖が起こると、血液中に存在する大量のブドウ糖が膵臓を障害し、インスリンの分泌量を低下させたり、肝臓、筋肉などの組織でインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性という状態を引き起こします。この高血糖が更なる高血糖を呼ぶ悪循環を糖毒性と呼びます。高血糖をそのままにしていると、ますます糖尿病が悪化していきます。このため、飲み薬で血糖値が下がらない場合は、糖毒性を取り除くために症状の軽い糖尿病でもインスリン注射を使用する場合があります。Ⅱ型糖尿病ではインスリン導入のタイミングを逃さないのが大切です。 |
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(Ⅱ型糖尿病のインスリンの必要な病期と不必要な病期) |
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(糖毒性の悪循環) |
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インスリン療法が不可欠なⅠ型糖尿病 |
ウイルス感染などが原因で引き起こされた過剰な免疫反応により、突発的に膵臓のインスリン分泌能力が障害されることでⅠ型糖尿病は発症します。小児や若年層に多くみられますが、成人になって徐徐に膵臓が壊されて発症することもあります。このタイプはインスリンが全く分泌されていないか、分泌されていてもごくわずかであるため、発症時からインスリンを注射で補う必要があります。一見Ⅰ型糖尿病の中にⅡ型糖尿病に似ている場合があり、診断時にGAD抗体やIA-2抗体等(Ⅰ型糖尿病の抗体)、空腹時内因性インスリン(CPR)が参考になることがあります。 |
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(Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病の違い) |
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(Ⅰ型糖尿病発症の仕組み) |
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