 |
|
|
|
どのようにしてピロリ菌に感染するのか? |
感染経路はまだはっきりわかっていませんが、経口感染(口を介した感染)が大部分と考えられています。またピロリ菌の感染率は、衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分普及していなかった世代の人で高い感染率となっています。 |
感染の予防方法について |
ピロリ菌感染の予防する方法はよくわかっていません。我が国のピロリ菌感染率は上下水道が十分完備されていなかった時代に生まれた団塊の世代以前の人では約80%前後と高いのですが、若い世代の感染率は年々低くなり、10-20代では欧米と変わらなくなってきました。衛生環境の整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下しており、あまり神経質になるのも必要がないのかもしれません。 |
 |
ピロリ菌はどのような病気を起こしたり、関係がある病気があるのでしょうか? |
ピロリ菌に感染すると胃に炎症が起こります。胃・十二指腸潰瘍の約90%の人感染しており、潰瘍の発生、さらに再発や治りにくさに、ピロリ菌が関係していることがわかっています。これまで胃潰瘍や十二指腸潰瘍は再発しやすく再発するたびに治療が必要なやっかいな病気と考えられていましたが、ピロり菌の除菌療法によりピロリ菌に感染している胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人は大部分の潰瘍の再発が抑制されることがわかってきました。日本人のピロリ菌感染者の数は約6000万人といわれています。そのためすべてのピロリ菌感染者が除菌を受けなければならないわけではありませんが、ピロリ菌除菌に関するガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療のためには、ピロリ菌感染者のすべてが除菌療法を受けることを強く勧めています。ほとんどのピロリ菌感染者は症状もなく、健康に暮らしています。除菌療法の対象となる疾患を下記に示しました。 |
|
 |
 |
|
潰瘍とピロリ菌 |
ピロリ菌以外の潰瘍の原因として最も重要なのが非ステロイド性の消炎鎮痛剤(NSAIDS)です。血栓予防の目的の低用量のアスピリンの服用でも潰瘍ができることもあり、注意が必要です。酒、タバコ、過度のストレスも潰瘍の原因となることがあります。なのでピロリ菌感染していない、あるいは除菌したからといって決して潰瘍にならないあるいは再発しないというわけではありません。 |
ピロリ菌と胃癌の関係 |
胃癌とピロリ菌は関連している可能性があります。胃・十二指腸潰瘍や胃のポリ- プなどの患者を対象とした調査では、10年間で胃癌になった人の割合がピロリ 菌に感染していない人では0%だったのに対し、ピロリ菌に感染している人では2 ・9%だったという報告があります。またピロリ菌を除菌すると、新しい胃癌が発生 する確率を減らす可能性があります。早期胃癌の治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは除菌をしなかった患者さんと比較して、3年以内の新しい胃癌の発生が約 1/3だったとの報告があります。 |
|
 |
|
最近のピロリ菌の除菌療法 |
下記に示すように1)-4)にあてはまる患者さんでピロリ菌の感染している人が治療の対象となります。2種類の抗菌剤と胃酸の分泌を抑える薬の3種類の薬を1日2回、7日間服用します。すべての治療が終了した後、4週間以上経過してから、ピロリ菌の除菌ができているかどうか、もう一度検査する必要があります。正しく薬を服用すれば、1回目の除菌治療は約80%の確率で成功します。1回目の除菌療法で除菌できなかった場合は抗菌剤のうち一つを初回とは別の薬に変えて、再び除菌療法を行います。2回目の除菌療法早く80%を超える確率成功します。 |
|
 |
|
除菌療法療法後の問題点 |
ピロリ菌の除菌が成功した患者さんのうち、少数の人に逆流性食道炎が報告されていますが、症状は無症状か軽微な人が多く治療が必要な人は稀です。この原因は ピロリ菌の除菌により、低下していた胃酸の分泌が正常に戻ったためと考えられます。 |
|
|
|
|