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糖代謝指標(インスリン分泌能抵抗性に関する検査) |
糖尿病の病態を把握し、適切な治療方針を決定するために内因性インスリン分泌能、インスリン抵抗性を評価することが重要です。すなわち内因性インスリン分泌の減少が主体の病態なのか、インスリンの働きの低下が主体の病態なのかを知ることが治療薬選択にも影響があるということ、また療養指導(体重減少の必要性、栄養のバランス、ライフスタイルの見直し、)等にもかかわり、糖代謝指標の検査の意味を理解することは、糖尿病管理には不可欠と考えます。 |
空腹時CPRによるインスリン依存性の目安 |
膵ベータ-細胞で、インスリンがプロインスリンから産生される際に、CPR(Cペプチド)が等モル産生されるため、内因性のインスリン分泌能を評価する検査として利用されています。Cペプチドは肝臓の取り込みはごくわずかで大部分は腎臓から排泄されます。血中の空腹時のCPRや一日尿中のCPRを測定することにより膵ベ-タ-細胞から分泌される内因性インスリンの分泌能を評価することができます。最近、インスリンの分泌能の評価や治療薬の選択方法として、早期空腹時のCペプチドインデックス(C-peptide
index;CPI)が有用な指標として使用されています。計算式は下記に示す通りで、CPIが1.2以上の場合はは食事療法.経口糖尿病薬治療、0.8未満の場合はインスリンの治療というように治療法の選択にも有用です。空腹時C-ペプチド値が0.5ng/ml以下や一日尿中Cペプチド値20μg/day未満のときはインスリンの分泌能の低下が著明でインスリン依存性があるということが考えられます。また空腹時Cペプチド値が2.0ng/ml以上や1日尿中Cペプチド値100μg/day以上のときは、インスリン抵抗性の存在が予測されます。Cペプチドは腎臓で代謝されて尿として排泄されるので、腎機能の低下している人では血中のCPRは高めに、尿中CPRは低めになるため注意が必要です。また血糖が高くて糖毒性のある時(インスリンの分泌能はあるが血糖が高すぎるためにインスリンが分泌できない状態)の場合は実際のインスリン分泌能より、過小評価する可能性があります。 |
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HOMA-R HOMA-ベ-タ- |
糖尿病の原因は、膵臓からのインスリンの分泌が低下している状態と肝臓や筋肉に対してのインスリンの働きが悪くなっているためにインスリンの血糖値を下げる力が弱まっている状態(インスリン抵抗性)の2つからなっています。どちらの病態が主体なのかにより糖尿病の治療薬が変わってきます。そのためインスリンの分泌能と抵抗性を正しく評価することが必要です。早朝空腹時血糖値と早朝空腹時のインスリン値(IRI)インスリン抵抗性の指標であるHOMA-Rとインスリン分泌能の指標であるHOMA∸ベ-タ-を計算することができます。2型糖尿病はインスリン分泌低下とインスリン抵抗性の2つの病態が重なっている場合が大部分です。同じ2型糖尿病でも個々人によって糖尿病の病態が異なります。2型糖尿病の治療薬の選択は、病態に合ったものを選択する必要があります。インスリン抵抗性とインスリン分泌能を評価する簡便な方法がそれぞれHOMA-RとHOMA-ベ-タです。これらは早朝空腹時血糖値と早朝空腹時インスリン値(IRI)より算出されます。これらの式は複雑な式の近似式のため、空腹時血糖値が140㎎/dL以上になると正しく評価できません。またインスリン治療中の患者さんには用いることができません。 |
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